宝塚歌劇の人気作品「エリザベート~愛と死の輪舞曲(ロンド)」のメインキャスト「ルキーニ」
実在の人物で、エリザベート皇后を殺害したという史実のままに劇中でも登場しています。
劇中のルキーニはシリアスなシーンから、時にはコミカルに観客に語りかけるストーリーテラーとして登場!舞台に出ずっぱりで「エリザベート」では重要な役割です!
宝塚版「エリザベート」のルキーニについてまとめてみました!
目次
ルキーニ歴代キャストまとめ!
2018年の月組公演で、宝塚歌劇で「エリザベート」が上演されて10回目となります。
今までにルキーニを演じたタカラジェンヌは9人!当たり前ですね(笑)
記念すべき10人目は、月城かなとさんになるんですが歴代キャストは振り返ってみると超豪華!!
今までルキーニを演じた人すべてがトップスターになっているという注目の役でもあります!
歴代「ルキーニ」 キャストまとめ
- 1996年 雪組 轟悠
- 1996年 星組 紫吹淳
- 1998年 宙組 湖月わたる
- 2002年 花組 瀬奈じゅん
- 2005年 月組 霧矢大夢
- 2007年 雪組 音月桂
- 2009年 月組 龍真咲
- 2014年 花組 望海風斗
- 2016年 宙組 愛月ひかる
- 2018年 月組 月城かなと
1996年の初演雪組公演でルキーニを演じたのは、轟悠さん!本場ウィーンから来たスタッフが「一人男が混ざっている」と感想を述べたという渾身の演技!
2002年の花組公演で瀬奈じゅんさんが演じたルキーニが個人的にはお気に入り^^物語終盤にトート閣下から短剣を渡されるシーンからガラリと演技が変わるところが見どころです!!
愛月ひかるさん、月城かなとさん以外は全員トップスターになっているんだなーとまとめてみて改めて思いました。ルキーニのキャストが決まると「将来のトップは確実!」とそんな目で見てしまいます^^
ルキーニの犯行の真相は?
舞台では「ルキーニ」という名前ですが、「ルイジ・ルケーニ」という表記が正しいです。
実在したルキーニは、イタリア生まれの無政府主義者。小さい頃から貧しくて苦しい生活を強いられたことから裕福な貴族への憎しみがありました。
生まれてすぐに孤児院に預けられたルキーニは、9歳の時にすでに働きに出ていました。優秀だったことでイタリア軍の有能な兵士として何度も表彰されるほどでした。
しかしイタリア軍兵士の職は、給料に不満があり除隊してしまいます。
スイスに移住して無政府主義の意識が強くなり、ついに貴族に手を出す決意をします。ルキーニのエリザベート皇后の殺害は、偶然だったという言葉以外に見つからないほど不運なめぐり合わせでした。
ルキーニが本来狙っていたのは、イタリア王国のウンベルト1世でした。しかしルキーニがスイスからイタリアに行くお金がなかったことで、断念。
次に狙っていたジュネーブに滞在していたフランスの王位継承候補オルレアン公フィリップは、すでにその地を去っていました。
そこで新聞でエリザベート皇后が滞在していることを知り、レマン湖のほとりでエリザベート皇后を先の尖った特製のヤスリを使い犯行におよびました。
エリザベート皇后はお忍びで来ていたにも関わらず、どこかから情報が漏れて新聞に載ってしまったことで起きた悲劇。
ルキーニは、犯行後に「心臓を狙った」というほど殺意にあふれ、そしてエリザベートの死を知ると喜んだということです。
皇后を亡き者にすることだけに満足し、無差別な犯行でないことを「洗濯女は殺さない」と言ったほど貴族に嫌悪感を抱いた行動でした。
「王侯だけを狙った」という話をしていたことも分かっていることから、エリザベートがその場に居合わせたのは本当に不運でした。
スイスは死刑が廃止されているために、ルキーニは終身刑となります。
裁判では「無政府万歳!くたばれ貴族階級!」と叫ぶなど最後まで貴族を憎む姿勢を崩しませんでした。
死刑を望んでいたルキーニは、11年の牢獄生活の後、ベルトを使って自ら命を絶ちました。
エリザベートの事件当日の行動は?
エリザベートはこの時期、王宮を抜け出して保養旅行の最中でした。
事件前日、エリザベートはスイスのレマン湖最南西端にあるジュネーブの町を女官と共に訪れて、ジュネーブで1泊します。
事件当日の朝、エリザベートは普段は食べないという朝食をたくさん食べました。「美味しい」と言って食べるエリザベートに女官は驚いたと言います。
いつもと違う行動をしたエリザベートに複雑な思いを抱いてしまいますね、、、
宿を出たエリザベートは、すぐ近くにあった船着場へ向かいます。出船の鐘が鳴ったことで急ぐエリザベートに速足で近づいてきたルキーニは転ぶ振りをして右手を振りかざして先の尖ったヤスリで胸を一突きしました。
その衝撃で仰向けに倒れたエリザベートは呆然としていましたが、女官の「宿で休憩しましょう」という言葉を断って船に乗り込みました。
船に乗ったとたん、急激なめまいに襲われたエリザベートは、船上にいた看護婦に応急処置をしてもらいました。意識が一瞬戻ったエリザベートは「何が起こったのかしら」と話したといいます。
女官がエリザベートの服を探ったところ、心臓近くに小さな傷があるのを見つけました。女官は慌てて船を引き返すように訴えました。
「この御方はオーストリア后妃さまです!ただちに引き返してください!神父さまやお医者さまも立ち会わないまま落命させることはなりません!」
船はジュネーブに戻り、医師も駆けつけましたがエリザベートは二度と目を覚ますことはありませんでした。
1898年9月10日、午後2時20分のこと。エリザベートは61歳の生涯を閉じました。ちなみにルキーニはこの時25歳。
凶器は、先が三角形にとがるように削ったヤスリ。エリザベートの胸を8.5センチの深さまで突き刺し、肋骨を砕いて肺から心臓を貫通していました。
細い傷口だったことで血液が吹き出すまでには至らず、心臓が止まるまで時間がかかりました。エリザベートが刺されてから数十メートル歩けたのはそのためでした。
エリザベートは『いつか死ぬことになったら遺体は海に沈めて、墓はコルフ島の波打ち際に立てて欲しい』と言っていました。
しかし王族という立場からその願いは叶わず、亡骸はハプスブルク家の先祖とともにカプツィーナ協会の地下霊廟に安置されました。
まとめ
宝塚版エリザベートのルキーニは、物語の語り手ともなる重要な役。ルキーニを演じたタカラジェンヌは後に必ずトップスターになっているので注目です!
実在した人物として、史実に残っているルキーニは宝塚版の舞台では描かれない違った顔がありました。エリザベートは不運が重なって事件にあったという事実に、今でも無念な気持ちになりますね。