宝塚歌劇 月組「ブエノスアイレスの風」をライブ配信で観劇しました!
暁千星さんの組替え前の最後の公演、とっても良かったです!
月組「ブエノスアイレスの風」を見た感想と観劇レポートをまとめました。
目次
宝塚歌劇 月組「ブエノスアイレスの風(2022年)」感想と観劇レポート
- 観劇日:2022年5月22日(日)16時公演
- 場所:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
- 作・演出:正塚晴彦
- 主演:暁千星
「ブエノスアイレスの風」感想
仄暗い時代の中を生きる若者たちの生きる辛さや希望を感じる作品でした。
生きる意味とは何か、希望や情熱を失わないように若者がすがるもの、それを一歩間違えるだけでこんなにも人生が変わってしまうものなのかと、、、ラストは胸が苦しくなる展開でした。
自由のない国で自由を勝ち取ろうとした若者が最後に非情な世の中を生きていく辛さやそれを乗り越える強さを作品を通して感じました。
あまり馴染みのない「ブエノスアイレス」という土地や「ゲリラ」という言葉の中にある登場人物たちの持つ「意味」が、段々と見えてくるあたり、とても自然なストーリーだなと思いました。
ゲリラ戦に参加したニコラス(暁千星)とリカルド(風間柚乃)の二人の人生の行く末にもとても心が打たれました。
登場人物たちすべてが何か時代の暗さを抱えていて、舞台上で必ず現れる「夜」「夜道」の中で行き交う人達の物語が見えてくるようでした。
ストーリーの後半あたりから気がつけば夜道にぼんやりと灯された「街灯」が目を引くようになってきて、最後には登場人物たちの生きる「光」のように見えてきました。
明るくもなく暗くもない「街灯」の光、暗闇を少しでも明るくする「街灯」のような希望はひとりでは見つけられないのかもしれないとも思いました。
出所したばかりのニコラスは太陽の光が眩しいと言っていたことも重なって、なんだか不思議な気持ちになりました。
見どころ
やっぱりありちゃんのダンスシーンですね^^
難しいタンゴの振付、ペアで踊る天紫珠李さんも素敵でした!
メリハリの効いた特徴的な動きもピシッと二人が合うところ、鳥肌が立つくらいのシンクロ率でした!
正塚晴彦先生はタンゴがお好きですよね^^
過去の作品では花組の「ラ・エスペランサ」、星組の「ダンサ・セレナータ」など、もしかしてもっとあるかな??
観ている方は嬉しいんですが、「お稽古大変だったろうな」と必ずチラッと頭のスミでいつも思ってしまいます^^;
音楽
音楽はタンゴ調のメリハリの聞いた曲ですが、明るい気持ちになるような曲調ではなくて「不安」も含まれているような不思議な気持ちになる曲が多かったように思いました。
ありちゃん(暁千星)が1人で歌うシーンが多く、とにかく「歌がうまくなったなあ」と何度も思ってしまうくらい聴き入ってしまいました^^
そんなタンゴ調の楽曲と共に踊るありちゃんと天紫珠李さんのタンゴ、とっても良かったです!
セット
何度も場面転換や暗転もありましたが、ほとんど気にななかったです。
シーンとシーンの繋ぎは男女ペアのダンサーが踊りながら繋いだりと面白く感じました。
色合いもストーリーに合わせて明るい色はなかったですが、照明の加減でとても雰囲気があって暗いだけではない美しさを感じました。
スポットライトでダンサーを強調したり、照明の明暗で奥行きが見えてニコラスが働くタンゴ酒場の店内がリアルに感じました。
衣装
タンゴダンサーの衣装も派手すぎない色合いで素敵でした^^
イサベラのワインレッドのドレスや、酒場の歌い手であるフローラ(晴音アキ)のロングドレスも素敵でした!
ダンスに映えるドレスのスカートのデザインが最高!見ていて楽しかったです!
男性陣はどうしてもスーツが多かったのであまり区別がつかず^^;
そんな中で不良息子のマルセーロ(彩海せら)の首に巻いたスカーフ、似合ってました^^
月組「ブエノスアイレスの風2022」キャスト感想
暁千星/ニコラス
元ゲリラ組織のリーダーという過去が観ていて目に浮かぶような影のある演技、とてもカッコよかったです!!
とくに哀愁漂う背中のシーン、最高に良かったです!
タンゴを踊る姿は言う事なし!だけど言いたい!平凡な言葉しか出てこないのが申し訳ないくらい「とっても素敵でした!」
そして踊っているときの眼力、画面から伝わるニコラスの気持ちも相まってシビレました^^
1人で歌うシーンも多くて、それでもしっかりと場面の雰囲気が伝わる哀愁ある歌声が本当に良かったです!
コミカルな場面はほとんどなく、ありちゃんの可愛さが見えたのは終演後の挨拶だけ、だけどニコラスとのギャップがさらに際立っていました!
普段のほんわかしたおしゃべりも聞けて、終演後の挨拶も併せてありちゃんの魅力が詰まった作品になったんじゃないかと思いました^^
風間柚乃/リカルド
ニコラスの友人で、ゲリラ戦闘員の仲間として荒々しい性格が見て取れる立ち振舞が最高でした!
妹やニコラスといる時の嬉しそうな顔と、過去を語るときの鋭い顔つきと、その時代を生き抜いた戦士のような雰囲気は迫力がありました。
ラストのニコラスとのやり取りは二人にしか出せない雰囲気も伝わってグッときました(/_;)
天紫珠李/イサベラ
何か不安や寂しさを抱えていることがわかるような演技、とても良かったです^^
そして暁千星さんとのタンゴ、本当に素敵でした!
母や姉との関係、遊ばれた男とのいざこざにくじけずダンスを続けている強い姿、カッコよく見えました。
ニコラスとペアを組んでからの人生はきっと良くなっているんだという希望を勝手に抱いて観ていたんですが、そうなると良いなと思うくらい「幸あれ」と願わずにいられない女性でした。
天紫珠李さんの表情がなんとも悲しげで、最後まで幸薄い女性に見えて仕方なかったです。
礼華はる/ビセンテ
ニコラスの元恋人エバの現在の婚約者、最後までいけ好かないヤツでしたw
礼華はるさんの真面目一辺倒なビセンテ、めっちゃつまらない男に見えて最高でした!
いい人に全く見えずエバもなんでこの人がいいんだろうと何度も思ってしまいました^^;
だけどこの時代に生きた刑事さんだからこそ、犯罪の匂いがしたらとにかく疑うしかなかったのかなとニコラスが悪者と思われても仕方ない感もありました。
ラストはちょっと見直したのですが、個人的にはエバには似合わないかなと思いました^^;
彩海せら/マルセーロ
ニコラスが働くタンゴ酒場の歌い手フローラの息子、チンピラと言われていましたが後半になって少し可愛さが見えたのが救いでした。
彩海せらさんだから出せる雰囲気なのかなと、マルセーロも良いところがあるのかもと思わせてくれる演技が良かったです^^
羽音みか/エバ
ニコラスの元カノ、とっても真面目そうな小学校の先生という役柄が見ていてすごく伝わりました。
いい先生なんだろうなあ、と想像できるくらいの清楚な雰囲気と優しさも感じました。
恋人のビセンテが「仕事はいつやめてくれるの?」という質問には正直引きましたね^^;
この時代背景では女性は結婚したら仕事を辞めるということが多いのかもしれないですが、ちゃんと話し合ってね、と思わずにはいられませんでした。
花妃舞音/リリアナ
リカルドの妹、ニコラスに想いを寄せている天真爛漫な女の子。
花妃舞音さんが演じるリリアナの話し方や表情など、まだ大人になりきれていない女性の雰囲気が伝わってきました。
なんにも考えていないようで、周りをちゃんと見ている子供のような要素もあって、ストーリーにとても映える登場人物でした!
凛城きら/ロレンソ
タンゴ酒場のマスターで、落ち着いた大人の雰囲気がとても良かったです^^
ストーリーの後半になっても良い人のままで、最後まで安定した「大人感」が安心して観ていられました^^
イサベラへの気遣いやニコラスをダンサーに勧誘するスマートな言い回しもとても「大人」でした^^
晴音アキ/フローラ
タンゴ酒場のシンガーで、マルセーロの母親。
歌声と雰囲気、「過去にいろいろありました」と歌っていなくても感じることができる哀愁漂う女性でした!
息子に苦労している姿、ストーリーの最初から最後まであったシーンでしたが、ラストでは息子に苦労したけど見捨てない母親の姿には心打たれました。
蓮つかさ/武器商人
蓮つかささんのいい声、久しぶりに聞くことができて嬉しかったです^^
セリフが聞きやすいのと、落ち着いた話し方なのにキレている武器商人の演技は最高でした!
ストーリーの後半のみの出演だったのが惜しいくらい!個人的にはもっと出番があってほしかったと思うくらいの存在感でした!
まとめ
宝塚 月組公演「ブエノスアイレスの風」をライブ配信で観た感想をまとめました。
個人的に好きな正塚晴彦先生の作品、ライブ配信でも見ることができて良かったです^^
何気ない会話の中のハッとするようなセリフ、劇中にあるメッセージを受け取っては考えを巡らせてしまうという、正塚晴彦先生らしさも感じて楽しく観劇できました。
暁千星さんの月組としての集大成の作品、とにかくダンスがたくさん見れて嬉しくなりました!
「ブエノスアイレスの風」を観て、ありちゃんが星組でもダンスに歌にと舞台に立つ姿が見えてきて^^素敵な姿をまた見せてくれると思うと楽しみが増してきました!
月組生としてずっと観てきたので、次の月組公演にありちゃんがいないのは正直寂しいですが、星組での活躍も見守りたいと思っています^^