【月組】桜嵐記の感想!珠城りょう退団公演の観劇レポート!

桜嵐記 ライブ配信

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宝塚歌劇 月組「桜嵐記」の宝塚大劇場 千秋楽をライブ配信で観劇しました。

珠城りょうさん・美園さくらさんのサヨナラ公演、とてもステキな作品で見終わってからも感動が溢れて止まりませんでした!!

珠城りょうさん・美園さくらさんの退団公演「桜嵐記」の観劇レポートをまとめました!!

 

目次

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月組「桜嵐記」を観た感想!ライブ配信 観劇レポート

「桜嵐記」は鎌倉と室町の間の【南北朝】が舞台の作品、

時代ものの劇なので、途中で話についていけなくなるかもと心配だったんですが全く大丈夫でした^^

上田久美子先生の脚本・演出の素晴らしさにも感激しました!!

 

「南北朝」と言っても全くピンとこないので、多少は予習をしてから観劇したのですが冒頭から 組長 光月るうさんが

「南北朝ってご存知です?」

と、お客様に話しかけて笑いをひとつw

時代物のお話なので、肩肘張ってというか、難しいかもと身構えていたんですがとても和みました^^

ここで「南北朝」についてのわかりやすい説明が舞台上で行われます。

「南北朝」とは、天皇が政権を握る北朝と、武士が政権を握る南朝の戦い

があった時代。

珠城りょうさん演じる楠木正行(くすのき まさつら)は、南朝の側。

正行は、天皇を大将として戦う武士のひとり。

敵方は、風間柚乃さん演じる足利尊氏が大将として戦う北朝。

 

割とラフでコミカルな説明だったところから、光月るうさんの声のトーンが変わり銀橋の端から中央へ歩いていきます。

反対の花道から銀橋中央へ向かうもうひとり老女(夏月都)と会話を始め、本編へ入っていきました。

この幕を下ろさないで行う「場面転換」の流れ、しびれました!

 

そして舞台中央の奥から登場した珠城りょうさん演じる楠木正行!

大きな弓を持って戦いの舞を踊ります。

敵方と珠城りょうさん演じる楠木勢がすぐわかるように両者入り乱れずに殺陣が行われていて、混乱せずに見ることができました。

ここで物語を引っ張っていく楠木3兄弟が勢揃い!

  • 長男 楠木正行:珠城りょう
  • 次男 楠木正時:鳳月杏
  • 三男 楠木正儀:月城かなと

3兄弟それぞれが登場のセリフひとことだけでも性格がわかるところ、とってもいいです^^

 

場面が変わって、楠木3兄弟の宿敵となる高師直(紫門ゆりや)の屋敷の場面。

高師直は北朝の大将 足利尊氏(風間柚乃)の右腕という武将ですが、好色家という史実があります。

なので助けを求める女性を値踏みするような場面も作ったんですね。

なんだか「カサブランカ」に登場するルノー大尉に似ているかなと思いました。

ルノー大尉のほうがコミカルで楽しい人だったので、緊迫したこのシーンとは全く真逆な感じですが。

 

好色家の高師直は、敵方 後村上天皇(暁千星)の侍女である弁内侍(べんのないし)を手中に収めようとニセの手紙でおびき出していました。

高師直さん、ここまで悪い人だと、逆に気持ちがいいですw

そして、弁内侍(美園さくら)が乗っていた籠からさらわれるシーン。

弁内侍の籠持ちをしていたジンベエ役の千海華蘭さん、さすがの存在感です!

ラストまでジンベエがどうなったのか、行方が気になって仕方なかったです。

偶然通りかかった戦帰りの正行(珠城りょう)が、難なく弁内侍(美園さくら)を助け出します。

過去の暗い記憶から「武士嫌い」な弁内侍に、『身分で人を分けてはいけない』という正行の言葉に「楠木正行」の人柄のすべてが見えました。

短い場面でも正行の「人となり」がわかりやすいと感嘆!

多くの場面を使って「楠木正行」がどんな人かとか長々と作らないあたりすごいです!

 

弁内侍を楠木の一行にしばらく加えてから吉野へ帰るまでの場面は和やかに見ることができました^^

料理上手な次男 正時(鳳月杏)のイノシシの丸焼きが焼けた嬉しさの舞とか、食事のシーンからの敵兵を手当する楠木勢の本質を見せてくれます。

「河内音頭」を歌う楠木の兵たちの朗らかで楽しい場面、これはラストあたりで歌う「河内音頭」とは対照的。

印象的な「河内音頭」を耳に残すという「歌」で魅せるシーンも最高です!!

 

吉野へ向かう途中、弁内侍(美園さくら)が気になる三男 正儀(月城かなと)がモーションかけてみたりとか笑っちゃいましたw

長男 正行は、弁内侍の過去を聞いても動じず、「母は復讐ではなく生きていてほしいと思っているはず」と言葉をかけます。

そして正行自身も「そうなるとよいと思う」とハッキリと弁内侍に伝えます。

とてもいい雰囲気のふたり。

そこへ目の前にいた三男 正儀は「そういうことは二人きりのときに言うとええよ」と兄へアドバイスw

ここは笑ってしまいましたw

その後、ちゃんと二人きりにしてあげる正儀、兄想いの弟だなとw

 

舞台下手、幕前での場面。

敵方、足利尊氏(風間柚乃)高師直(紫門ゆりや)が「楠木を撃つ」と宣言。

足利尊氏を演じる風間柚乃さん、これまでの雰囲気と違う武将姿、全然わかりませんでした!!

 

このシーンが終わると、舞台中央で吉野にて天皇へ謁見する正行たちのシーンへ。

後村上天皇を演じる暁千星さんの落ち着いた演技良かったです。

父を継いだ若い天皇の苦悩が痛いほど伝わるシーン、後醍醐天皇を演じる一樹千尋さんの怨霊がとっても怖かった!

「父の無念を忘れるな」という重い願いを叶えるべく、正行が進言した「和睦」の案は却下。

ここでは同じ「南朝」であっても、公家と武家の戦いに対する思いの違いが見える部分。

正行の父 楠木正成(輝月ゆうま)は戦も知らない公家が統べる「南朝」に殺されたのではないかと三男 正儀は疑問に思い始めるところ。

 

三男 正儀は長男 正行に激しい口調で自分の思いを伝えます。

「父は誰のために死なれたのか!?

南朝に殺されたのではないのか!!」

楠木が南朝に仕える意味が見えなくなった三男 正儀は

「忠義ってなんや!!」

と長男 正行にこれまで溜まっていた不満をぶちまけます。

これからの楠木3兄弟に訪れる厳しい道程を暗示するような不穏な雰囲気が漂ってくるシーンでした。

兄とは対照的な感情豊かな三男、とても印象的なシーンで、さらに今後の展開でも意味のある場面となっていました。

このシーンは自由な考えをもつ三男、父を継いでまっすぐに天皇に尽くす長男との違いを見せられ、南北朝の理想の形を模索する楠木家の思いが見て取れて面白かったです。

 

ここで少し楠木家の子供時代が登場。

屋敷(おそらく楠木家の実家)の上座に座る父 正成のどっしりとした存在感、輝月ゆうまさんの月組生としての集大成のようで泣いてしまいそうでした。

専科でも変わらずにまたこんなステキな姿を見たいですね。

子供時代のシーンが終わるころ、父 正成が背を向けて舞台を去る同時に珠城りょうさん演じる成人した正行が入れ替わるように登場します。

想いを同じくした父と息子、過去と現実が入れ替わるシーン、見事に自然にやってのける演出、もう言うことありません!

ここで歌われる長男 正行の歌、歌詞の意味もとても深くて聴き入ってしまいました。

 

後村上天皇と正行のシーン、実は二人は幼友達で「和睦」を叶えることができないことを天皇が正行に侘びます。

満開の桜の下、後村上天皇は正行へ『妻を娶れ』と弁内侍を連れてきます。

武士と公家では釣り合わないと困惑する正行に

後村上天皇:この子がいやか?

正行:いえ

後村上天皇:(弁内侍に向かって)よいな?

弁内侍:は

この弁内侍の「は」という返事の仕方、とっても可愛かったです^^

美園さくらさん、この頃の姫君の言葉使いや雰囲気がとってもよく似合います!

だけども正行は「長くは生きないから」と縁談を断ってしまいます。

縁談を断った理由は、『(家族を失った)弁内侍がまた誰かを失うことがないように』

という気遣いでしたが、ずっと黙ったままの弁内侍。さぞガッカリしたんだろうと察します。

この後の弁内侍が「散ると知りながら咲き急ぐ桜」について歌うシーン、正行への想いがダダ漏れでした、切ない(/_;)

「なんで正行はOKせんかったんかい!」

と、控えめでいじらしい姫君に味方をしたくなりました!

 

楠木家の実家、三兄弟が揃って帰宅すると足利尊氏が高師直とともにやってきていました。

足利尊氏は「花一揆」と呼ばれる若い武将集団を連れています。

別に足利尊氏の趣味ではないようですが、当時は農家など家を継ぐことのない次男三男の若い衆を集めていたんだそうですよ。

兜や鎧に梅の花なんかをさして戦った(と史実にもあります)この集団は「花一揆」と呼ばれていました。

「花一揆」は今回の「桜嵐記」にはこの場面でしか登場しませんが、「花一揆って何??」と気になってしまう人は多かったと思います。

足利尊氏が来た理由は、楠木3兄弟の北朝への勧誘。

つまり、『南朝を捨てて北朝へ寝返らないか?』というお誘いでした。

この時点で次男 正時の義理の父と弟は北朝に寝返ったことがわかります。

正時の妻 百合(海乃美月)と仲睦まじいシーンがあったなかでこれは酷な状況です。

楠木は父 正成の代に後醍醐天皇によって地位を得た武将。

北朝への寝返りは、父を裏切ることになると長男 正行は考えていたんだと思います。

長男 正行が「南朝にこだわる」理由はこのひとつのみ。

 

舞台上ではたくさんの人達が楠木3兄弟の周りを行き交います。

このシーンの演出は秀逸でした!

これまで登場した登場人物たちが舞台上を行き交います。

たくさんの人の流れの中に楠木3兄弟。

人の流れに飲まれずまっすぐに立つ正行の姿は、気持ちの揺るぎなさが伝わりました。

そして正行の答えは

「日の本が平らかになるまで南朝を見捨てない」

長男は弟たちに

「命を何に使うかは好きにせい」

と河内弁でいいます。

大事な思いを弟たちに伝えるシーンでかしこまった武士言葉から昔から馴染んだ河内弁で話すというところ、グッときました!

正行のほんのひとときの「素」が見える部分を作るところがまた「正行」の人柄に惹かれてしまいいました!!

 

長男 正行の決意に、次男 正時は百合と離縁することを選びます。

正時にすがる百合を冷たくあしらって去っていく姿、切なかったです。

百合を守るための選択だったこと、誰がみてもわかるんじゃないかと思いました。

兄2人より楠木の家に縛られていない三男 正儀も「南朝につく」と決めます。

締めるところは締める!かっこいい兄たちの姿に惹かれたんじゃないかなと思いました^^

強い意思と志をみせた楠木3兄弟に足利尊氏は「ますます欲しなったわ」と捨て台詞を吐かせるほど魅力があふれるシーンでした。

 

吉野は桜が満開です。

次の戦いのため、出陣式にやってきた正行。

出陣を知った弁内侍と正行の二人きりになります。

美しい桜が舞う中で、死ににいくような戦へ向かう正行へ弁内侍は

「二人が確かに生きている」ことを伝えます。

正行は戸惑いながらも弁内侍の想いに応えて寄り添います。

舞台中央で優雅に舞を踊る二人はくちづけ。

「美しい春よのう」

という正行のセリフ、幸せはここまでという意味に取れて悲しい響きに聞こえました。

 

銀橋に登場した 次男 正時と三男 正儀。

戦装束は次男は青色、三男は黄色、そして長男は赤。

舞台上に楠木3兄弟の衣装の色が映えていました!

衣装の色まで活かされているようで、生死を分ける過酷な戦いの中にも美しさがありました。

 

舞台上では激しい戦のシーンになりますが、物語冒頭の光月るうさん、老女 夏月都さんがその戦を見守る形で登場。

「この先をお聞きになりますか?」

と老女に問うあたりで、今までのことが回想だったことがわかります。

 

激しい戦の中で次男 正時(鳳月杏)は、北朝へ寝返った義理の父と弟と対峙することに。

ここで百合は自害したという事実、そして敵方である義父と義弟へとどめを刺します。

大切な百合を守るために離縁したのに、悲しい別れとなった正時の想いがこのシーンにすべて詰まっていました。

物語の前半で「何があっても生きろ」と正時が百合に言っていたことを思い出すと本当に胸が痛い結末です。

 

このあたりでの舞台上の戦、そして銀橋での「現在」のシーンの見せ方がとても良かったです。

光月るうさんが戦の状況を説明している中、舞台での戦いはスローモーションになっています。

光月るうさんの頭の中の記憶のようで、劇場中がとても不思議な空間に見えました。

 

戦の状況から、長男と次男は三男に「逃げろ」と言います。

そんな最中に銀橋では父 楠木正成と子供のころの3兄弟たちが登場。

帝のために新たな土地を用意していることを子どもたちに伝えます。

 

ここで長男をかばって次男が負傷し、命を落とします。

長男 正行は次男の刀を持ち二刀流で戦い続けます。

敵を倒しても倒しても終わらない戦いに、銀橋に登場した父 正成の「河内音頭」が聞こえてきます。

輝月ゆうまさんの歌声、とても好きです^^

正行の状況は悪くなるばかりで悲しいシーンですが朗々と歌われる「河内音頭」に涙が出そうでした。

結った髪も解けた正行の必死に戦う姿は、まるで「河内音頭」で舞っているような殺陣となっていて父と息子の想いがひとつになっているようでした。

感動した、というと平凡な言葉になってしまうんですが、心が震えるようなシーンで切なくなりました。

正行自身も「えんやら えんやら。。。」と歌うのですが、声も力も尽きてきます。

そこへ三男 正儀(月城かなと)が、援軍を連れてきます。

いつか助けた農民兵たちが力になってくれたことに嬉しく思えるシーンでしたが、正儀も援軍たちも正行を見て愕然とします。

もう助からないことがわかる正行の姿に、三男 正儀、ジンベエたちは正行を置いて逃げることができません。

最後に残った正儀に「いけ!失せろ!」と威勢よく正行は言います。

『最後は一人の女のために生きる』

そう言った兄を見て「さらば」とひとこと。

正行も「さらば」と。

 

40年後の南朝、かつて弁内侍と呼ばれた老女(夏月都)を訪ねてきた老いた楠家の三男 正儀(光月るう)

『あの時の泣く顔を見て言えなかった』

と、兄 正行の最期を弁内侍に伝えるために南朝へやってきたのでした。

「弁内侍さま」と呼ぶ正儀に「昔の名前を」というのですが、

「わしの好きな名前や」と、弁内侍への淡い想いを口にするところがとても切なかったです。

 

生き残った正儀は、史実では北朝へ寝返ったり色々とあったんだそうです。

兄の想いである「南北朝の和睦」がかなったのは40年もあとのこと。

この弁内侍への訪問で「ようやく国がひとつに」と言っています。

ここでジンベエがまだ弁内侍に仕えていることがわかります。

なんだかここは嬉しくて「ジンベエ!いい人生を歩めたね!!」と言ってあげたくなりました^^

 

40年後の吉野の地、やはり桜は満開。

「出陣式」のあの日の桜を思い出す。

 

花道からは青の戦装束の次男 正時(鳳月杏)と黄色の戦装束の三男 正儀(月城かなと)が登場。

舞台上では後村上天皇や弁内侍、南朝の公家たちが勢揃い。

そこへ赤の戦装束の正行(珠城りょう)が登場し、銀橋へ。

「お別れを みなさま」

凛々しい姿の正行が言うこのセリフ、こみ上げるものがありました。

 

最後のシーンに「死ぬ」ところを見せず、「出陣式」をもってくるセンス、最高です!

ラストなのに、かなりテンションが上がりました!!

 

後村上天皇が出陣する正行に歌を贈ります。

としふれば
おもいぞいずる
よしのやま
またふるさとのなやのこらん
ふるさとの なやのこり

ここで「ちょん」と拍子木の音!

出陣する正行にすがるような仕草をする弁内侍、

舞台上は優雅な平安絵巻のように見えました。

「もどれよ!」という後村上天皇に振り返らずに進む正行。

花道へ消える正行。

~終幕~

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まとめ

見終わってからの不思議な感動と押し寄せる寂しさ、家で見ているからこそ大きな声で感動を叫ぶことができましたw

一緒に観ていた妹と一緒に「すごい!!すごい!」と大はしゃぎでした!

時代物で、「南北朝」という題材で、「楠木正行」が主人公で、こんな舞台を観せてくれることにとても感動しました!

サヨナラ公演ということを感じさせない、とか退屈な言葉なのかもと思うくらいすごくステキな作品でした。

個人的な感想ですが、珠城りょうさんの宝塚最後の舞台がこの作品で良かったと思いました^^

こんなにステキな作品を「大劇場で見れなかった」ことの寂しさが心のこりです(/_;)

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