宝塚歌劇 宙組 全国ツアー「バロンの末裔」福岡市民会館公演をライブ配信にて観劇しました。
初演は1996年月組、久世星佳さんのサヨナラ公演で上演された作品。
再演となる今回の全国ツアーで初演と同じように、真風涼帆さんが双子の兄弟のひとり二役早替りに挑戦!
貴族社会の終わりが見え始めたスコットランドの物悲しい情景や誇り高く生きる貴族の心意気に気持ちがじんわり暖かくなるような作品でした^^
2021年、宙組全国ツアー「バロンの末裔」の観劇レポートをまとめました。
目次
宙組 全国ツアー「バロンの末裔」感想と観劇レポート!
ミュージカル・ロマン
『バロンの末裔』
- 観劇日:2021年12月4日(土)16時30分公演
- 作・演出:正塚晴彦
- 宙組 全国ツアー
「バロンの末裔」あらすじ
20世紀始めのスコットランドを舞台に、貴族社会の終わりが近づきはじめるころの男爵家の双子の兄弟のお話。
長男ローレンス(真風涼帆)は、ボールトン家の跡取りとして亡き父から受け継いだ屋敷の主として暮らしている身。
次男エドワード(真風涼帆)は、家を離れ軍人として暮らしています。
ある日、エドワードのもとに兄ローレンスの手紙が届きます。
具合が悪いという兄の知らせを受けて休暇を取ったエドワードは久しぶりに故郷へ帰ります。
懐かしい実家には、昔と変わらず執事のジョージや使用人たちの姿がありエドワードに笑顔がこぼれます。
ボールトン家の使用人たちの中には、幼馴染のキャサリン(潤花)もいました。
ローレンス・エドワード双子の兄弟の幼馴染のキャサリンは、現在はローレンスの婚約者。
エドワードはかつてキャサリンを想っていましたが、男爵家を継ぐ立場ではないことから身を引いた過去がありました。
病床の兄の代わりにエドワードが借金の理由を調べているうちに、双子の兄弟も知らなかったボールトン家の故郷の土地の秘密が明らかになっていきます。
エドワードは屋敷を失わずに生まれ故郷を守ることができるのか、兄の婚約者となったキャサリンとの関係は?
「バロンの末裔」感想
ゆったりと流れる物語の中に、ヨーロッパの貴族たちの優雅な立ち振舞や気概、兄弟の絆や秘めた恋など、ロマンス満載のステキなお話でした^^
実家であるボールトン家の立ち退きという差し迫った状況の中でも、慌てることなく淡々と今後のことを考える頭脳明晰なエドワード。
父から継いだ家を守ろうとするも、人の良さから借金を作ってしまった双子の兄ローレンス。
貴族らしいロングヘアのローレンスに、軍人らしいオールバックのエドワードと双子の区別はすぐにわかるのですが、二人の性格の違いもよく見えてとても面白かったです^^
双子の兄弟の幼馴染キャサリンの優雅な立ち振舞もステキでした^^
病床のローレンスを支えるキャサリンの控えめで健気な姿に「貴族の女性」の美しさを見たような気がしました。
執事や使用人たちの関係性も、貴族であるボールトン家がいかに人を平等に扱って親切にしていたかがわかってとても良かったです^^
ボールトン家の立ち退き問題に絡んだ人たちも、悪い人ばかりでないところもいいんですよね!
銀行の頭取になったばかりのウィリアム(瑠風輝)のまっすぐで正義感のある姿は、この先のハッピーエンドにつながる予感を感じさせてくれて、とても大きな存在に見えました。
ウィリアムの父トーマスを演じた凛城きらさんのコミカルな演技に、悪い人とは思えなくなる気持ちになってしまうのはなんでだろうと笑顔にもなりましたw
会計士ローバック(秋音光)のしたたかで小物風な人物像にも、想像を裏切らないキャラだなあと物語に必要な人物として安心して見ていられました。
個人的にはボールトン家の雑用をするヘンリーのキャラが最高に良かったです!
屈託のない無邪気なヘンリー少年を演じた亜音有星さん、最後まで可愛くて仕方なかったです^^
物語は弟のエドワード中心に動いていくんですが、ローレンスもエドワードも真風涼帆さんが演じるところも見どころですね^^
ひとり二役を演じる真風涼帆さんの早替りに驚いたシーンがひとつありました。
ボールトン家で双子が対面する場面、ローレンスは天蓋つきベッドの中で影が見える状態。
ベッドの側で話しかけるエドワードは真風涼帆さん本人で、ベッドの中のローレンスは声のみの出演。
ローレンスのセリフは録音なんですが、その後エドワードが部屋を出ていくとローレンスがベッドから起き上がって舞台上に登場します。
この場面、もっとよく見ていればと思ったくらいに真風涼帆さんがローレンスに入れ替わっていたのかわからなかったです!
タイトルが「バロンの末裔」ということを劇の後半まで忘れていたんですが、エドワードが「バロンの血にかけて」というセリフで思い出しましたw
「バロン」とは、貴族の称号のひとつだそうで、「貴族の名にかけて」という意味合いだったのかなと思い返しています。
衣装
潤花さんが着ていた緑やピンクのドレス、レースの襟元やスカートについていたリボンなどデザインがとてもステキでした^^
潤花さんの当時の貴族のドレスの着こなし、とても良かったです!
そしてそして!真風涼帆さんの軍服姿も最高でした!!
言うまでもなくかっこいい真風涼帆さんの軍人スタイル、スラッとした背の高さとスタイルの良さにとてもステキに舞台に映えていました^^
音楽
物語の冒頭に流れていたスコットランド伝統のバグパイプの音色で物語の世界観を伝えてくれていたので、ヨーロッパでの物語というところのイメージがしやすかったです。
主題歌はスローテンポで歌詞が聞き取りやすくて、エドワードの気持ちがストレートに伝わってきてグッときました!
宙組「バロンの末裔」キャストなど感想
真風涼帆さん
エドワード/ローレンス
双子の兄弟の演じ分けが見事でした!
役者 真風涼帆を何役も見れたお得感がすごくあります^^
エドワードの真っ直ぐで沈着冷静な性格と、ローレンスのおっとりとした優しい雰囲気の違いがしっかりと分かって内容も見やすかったです。
ローレンスを演じているときのほうが普段のゆりかさんが顔を出しているようで楽しかったですw
早替りも見事にこなしていて、作品の面白さが際立っていました!
潤花さん:キャサリン
ローレンスの婚約者で、エドワードとも幼馴染みという役どころ。
凛とした佇まいに、ドレスの着こなしなど貴族の淑女のオーラがとても出ていました!
自信に溢れた女性なのかと思いきや、後半はエドワードへの恋心を爆発させる情熱的な演技にグッと心を捕まれました!
キャサリンの切ない気持ちが狭い貴族社会の中での仕方のない生き方だったとしたら、物語の後のキャサリンの姿も見てみたいと思える魅力的なキャラクターだったと思います。
桜木みなとさん:リチャード
エドワードとは軍隊での仲間であり友人という役柄。
明るい性格が物語にアクセントをつけてくれていて、楽しい場面が多かったです^^
ホテル経営の夢を叶えたいと、貴族の友人にお金を借りようとする考えはどうかと想うんですが^^;
薄情な性格かなと思っていたら、意外にもボールトン家の問題解決をバッチリこなしてくれていてイイヤツなんだなと思いましたw
山吹ひばりさん:ヘレン
リチャードの恋人という役柄。
エドワードに会いに行くというリチャードにくっついてボールトン家にやってきた女性。
天真爛漫な性格がにじみ出るような楽しい雰囲気と笑顔が可愛かったです^^
歌も上手いことにも驚きました!
研2でこの存在感はこの先期待しかないんじゃないかなと思わずにはいられませんでした!
瑠風輝さん:ウィリアム
頭取になったばかりの青年という役柄。
銀行業務に真面目に取り組む姿、曲がったことが嫌いな性格が伝わる演技がステキでした^^
「僕の目をみてください」とあの顔で言われると絶対ウソはつけないと思いますが、、、父にも厳しく仕事熱心なところも魅力的なキャラクターでした。
亜音有星さん:ヘンリー
ボールトン家の雑用担当の少年。
言葉使いを執事のジョージに注意されるところから、可愛さが爆発してました!
物語後半のキジ撃ちのシーンから、ラストでのヘンリーの変わりようも良かったです!
それでも、エドワードやキャサリンには変わらない笑顔を見せていたところがまた可愛かったです^^
凛城きらさん:トーマス
銀行の前頭取、現会長という役柄。
専科に異動後に初めて出演するのが宙組という元宙組の凛城きらさん^^
初演では未沙のえるさんが憎めないおじさんキャラを演じていましたが、凛城きらさんもナイスなおじさんぶりでした^^
息子ウィリアムとの掛け合いもぴったり息が合っていて、次はいつ二人が登場するんだろうと楽しみで仕方なかったですw
ボールトン家には憎まれても仕方ない人のはずなのに、ラストではパーティーに呼ばれていたりと悪役ではない役どころっていうところが最高のキャラクターです^^
寿つかささん:ジョージ
ボールトン家の執事。
真面目に仕事ひとすじ、主に心配をかけまいと常に笑顔を心がけるステキな紳士でした^^
ボールトン家を訪ねてきたリチャードにモノマネされていましたが、ジョージはもしかして気づいていた?と想像すると面白いなとか、勝手に思ってましたw
まとめ
宙組全国ツアー2021「バロンの末裔」福岡市民会館公演の観劇レポートをまとめました。
演出の正塚晴彦先生が作る作品の「間」が大好きで、今回もそんな瞬間が何度もあって嬉しくなりました^^
そして、ふるさとと人と人とのつながりの大切さを丁寧に描いた作品だったこと、とても感動しました^^
真風涼帆さんのひとり二役の早替りも良かったです!全国ツアーでやるなんてなかなか攻めているなと思ってしまいました。
潤花さんの芯の強さが伝わる健気な女性の姿にも心打たれました。
「バロンの末裔」の再演は初めてと聞いて驚きましたが、再演する作品としては上質な内容なのでまたいつか再演しなかと楽しみに待っていたいと思います!