宝塚歌劇 雪組「ほんものの魔法使」をライブ配信で観劇しました。
メッセージ性のある物語にハッとさせられるセリフもあってステキなお話でした。
朝美絢さん主演の雪組「ほんものの魔法使」を観劇した感想をまとめました。
目次
雪組「ほんものの魔法使」あらすじ・キャスト
- タイトル:ほんものの魔法使
- 日時:2021年5月30日(日)15時公演
- 場所:バウホール
- 演出:木村信司
- 主演:朝美絢
雪組「ほんものの魔法使」観劇した感想
とっても良かったです^^
ファンタジーな世界観と、主人公アダムの誠実な雰囲気が朝美絢さんにとっても似合っていました^^
幕が開くと、ライトに照らされたアダム(朝美絢)とモプシー(縣千)が中央に登場。
明るくて誠実な主人公アダムと毒舌なしゃべる犬モプシーのコンビのやり取りがとっても可愛かったです^^
舞台セットはシンプル、だけどストーリーと登場人物だけで「世界観」がよくわかる内容でした。
衣装はアメリカ南部の人たちが来ているような、ちょっとウエスタン風の衣装だったり、作業着風の上着だったりとラフな服でした。
マジェイアの町のみなさんは「マジシャン」なので、奇抜な格好(インド風とかチャイナ服とか)が多くて「普段着」が全くわからなかったですw
衣装替えはあまりなかったですが、アダムが魔術師の試験の本選でタキシードを着てぴしっとキメていたところが最高でした^^
個人的にはアダムが「魔法」を使う場面がユーモアに満ちていて「見ていて楽しい」と感じました!
●割った卵がもとの卵に戻る魔法
ジェインが歌う「ハンプティダンプティの歌」にあわせてバックでは王様とハンプティダンプティが登場!
ハンプティダンプティはクレーンで吊られていていました!
●シルクハットからチョウチョが出てくる魔法
レオタードに蝶の羽を付けたダンサーが登場して、ショー場面のようで見ているのが楽しく感じました!
それ以外にもハチや牛、ニワトリなどの衣装がとっても可愛かったです^^
動物が出てきたり、モプシーがしゃべるという設定もあるし、子供がよろこぶんじゃないかなと場面ががしばしばありました。
物語の世界観は、マジェイアの町の門番ファスマーが「魔法ができなきゃ町には入れないよ」という部分ですぐにわかるところ、もうすでに物語に引き込まれる感覚になりました^^
アダムは、ファスマーの入れ歯を取るマジックを見せます。
入れ歯がない演技、ファスマーさん最高ですw
「タネは?仕掛けは?」と驚くファスマーにアダムは平然と「ただの魔法です」というところ、すでにここから「ほんものの魔法」が始まっていました。
「種明かしは審査員にまかせよう」とファスマーは不思議な出来事を見ないふりしてしまいます。
ここでアダムの存在の不思議さや「魔法」は十分に伝わりました!
門をくぐると眩しい魔法の世界!と思ったら
「眩しくて目を閉じちゃった」というアダムのセリフと連動して舞台上も真っ暗。
その後目を開けたアダムが見たマジェイアの魔術師たちの魔法の世界。
もう世界観バッチリです^^
マジェイアの魔術師たちは
目の前で見たもの、それがすべて
この世はつまらないところ、だから楽しませよう
と歌っていますが
アダムは
この世はステキなところ、楽しもう
と、とにかく「楽しい」とはしゃいでいました。
だけど「楽しいだけの場所はどこにもない」と現実的なことも言うのでドキッとしてしまいました^^;
- 16歳の女の子ジェインの悩み
- 魔術が下手な子供好きなニニアン
- 「ほんものの魔法」を怖がるマジェイアの魔術師たち
アダムはすべての人へ素直な気持ちを伝えていきます。
うまく理解されず、途中ではアダムも「自分はひとりきり」と「ほんものの魔法」を使う自分が怖いと感じてしまう場面もありました。
ジェインには自分の中にある「箱」の存在を教えてあげます。
「できる!やるんだ!できるんだ!」という思いが詰まった箱を明けてジェインは「出来の悪い娘」ではないことに気づいていきます。
兄ピーターに言われた「女の子には『あたり』と『ハズレ』がある、ジェインは『ハズレ』だ」と言われたことを聞いたアダム、
世の中に「ハズレ」の子なんていない
というアダムの言葉もとっても響きました!!
っていうかピーターだいぶひねくれた子だなと^^;
アダムはジェインをいじめるピーターについて、最初から「問題はピーターにある」とズバッと見抜いていたのでスゴイなとも思いましたw
そんなピーターもエンディングでは見違える人物になっていたので、原作にある「罪のないお話」という副題を思い出してほっこりしました^^
アダムと自分たちが使う「魔術」が違うものと感じた魔術師たちの行動、誰もが感じる「違うものへの恐怖」の先にあるもの、現実でも感じる怖さへの気持ちにはとても共感がもてました。
マジェイアの混乱を解決するためにしたアダムの行動にもゾクッとしました。
マジェイアの人たちが恐れた「ほんものの魔法」で「魔術師」のしごとがなくなることへの解決方法、寂しいけれどこれで良かったのかな。
アダムもマジェイアで学んだことがたくさんあったんだと思いました。
嫌なことばかりではなかったと思いたいです。
ストーリーの中では心に響くメッセージがたくさんありましたが、受け取り手によって感じることも様々だと思いました。
誰もが魔法の世界に住んでいる
世界は見知らぬ魔法で満ちている
アダムが歌う歌は、この物語のメッセージをギュッと凝縮していました。
「ほんものの魔法」とは何か、の答えは
『当たり前にある奇跡のこと』
『人間では生み出せない生命の成長や美しさ、創り出せない自然の神秘のこと』
- 卵を産むニワトリ
- 草を食べてミルクを産み出す牛
- どんぐりが樫の木になること
すべてが魔法だとアダムはジェインに教えていました。
だけどマジェイアの人たちは「ほんものの魔法」を使うアダムを怖がっています。
長老アレキサンダー(いい人でした)は、
人は理解できないものを恐れ、疎ましくなり、排除する
とアダムに伝えます。
排除する理由は「自分がかわいいから」だというアレキサンダー教授、深いです。
自分と違うものを認めることがなかなかできない人は多い、という点にはとっても納得。
原題にも通じるストーリー、こんなステキなお話をもっと観てもらう機会があったらなと思ってしまいました。
雪組「ほんものの魔法使」キャスト感想
アダム:朝美絢
「ただのアダム」という名前のとおりの自然な演技で、アダムのキャラクターの良さが始まってすぐに伝わってきました^^
笑っている顔や無邪気な姿がとってもステキでした^^
歌も良かったです!
ロバートさん家で「身だしなみを整える」ボタンを押したときに「男前」にキメるシーンが最高にカッコ良かったです^^
アップで映るのでライブ配信で観ていてよかった^^
ラフな格好が多かったんですが、試験での「本選」の場面のマジシャン風のシルクハットと燕尾服がよく似合っていました!
モプシー:縣千
ふわふわのジャンパーとゴーグル付きの耳あて帽子、衣装は白がメインの衣装でした。
白くてふわふわの犬なんだな、と見た目でわかりましたw
毒舌のツッコミがとっても効いていて、アダムとの掛け合いが面白い!
アダムに厳しくも優しい性格なところが、毒舌でも憎めないところでかわいい!
アダムが歌うそばで小さなおもちゃのピアノを弾いていたり、さりげないサポートもできてよくできた相棒でしたw
ジェイン:野々花ひまり
ポニーテールヘアで元気な16歳の女の子。
泣いたり怒ったりと喜怒哀楽が激しいのに、嫌味な感じがしないとってもかわいい女の子でした^^
「ほんものの魔法使」はジェインの成長も見どころなので、ラストに行くまでの気持ちの変化がとっても良かったです^^
ニニアン:華世京
赤い縁のメガネのどんくさい魔術師でしたが、ラストでは立派な人気マジシャンになっていました。
最初とラストの姿のギャップに「別人」??と思えるほどでした。
歌とセリフと交互にあるシーンでの自然な感じが良かったです^^
歌がステキだったのでニニアンもっと歌ってほしいと思いました!
ロバート:久城あす
威厳を持った父親でちっとも融通が効かない人でした。
かなり嫌なキャラでしたw
ピーター:荘海はるま
文句を言ったりちゃちゃを入れたりと、かなり嫌なやつが伝わってきました!
ハチに囲まれて刺されるシーン、もっと面白くなるのに!とちょっと惜しい気持ちで観ていました。
ワン・メイ:彩みちる
ジェインの親友。
チャイナ服がよく似合っていました^^
ジェインとの会話でも仲良しな感じが伝わってきてよかったです!
マジェイアの魔術師たち
個性的なキャラが揃っていて、舞台の隅から隅までどこを観ていいのか迷うくらいでしたw
インド風、中国人、マント、賢者、いろんな格好をしたマジシャンたちのそれぞれのキャラが立っていてよかったです^^
まとめ
雪組「ほんものの魔法使」は、胸にぐっとくるようなメッセージがたくさん詰まった物語で、見終わってから色々と考えにふけってしまいました。
ファンタジーな世界観、衣装もステキでした^^
何より朝美絢さんの純粋な青年を演じる姿が瑞々しくてとても良かったです^^
カーテンコールでは、
『この「物語の力、ぬくもり、優しさ」が伝わると嬉しい』
と言っていました。
この日はDVDの収録日でした。
『いつでも会える』
とアダムのカッコイセリフとともに、ジェインが開けた「箱」を引き合いに、
『ブルーレイのパッケージも開けてね!』
とお茶目に言っていたところも可愛くてよかったです^^
本当にステキなお話でした!
原作の良さをここまで引き出す木村信司先生の演出の力にも改めて感嘆しました!
この作品に出会えてよかった!何度も観たいし、子供たちにも観せてあげたい名作だと思いました!